やるべきことに集中する

 最も大切なこと、やるべきことをしない人

 空手を稽古をしていても、低い姿勢を長時間キープするような足腰を鍛える鍛錬は、ほっておくとほとんどの人が選ばない、見た目のきれいな型や蹴りなど、稽古をしている気分になれる稽古を選ぶことが多い。

 また、逆に筋トレなど体を鍛える鍛錬ばかりを行う人もいる。手っ取り早く、練習をした気になれるからである。ゆっくり丁寧に型を行い体の使い方を研究することや同じ技をなんども工夫して繰り返し練習することは敬遠する傾向がある。

 子ども達に、「なんの練習をしようか」とたずねると、だいたい「飛び蹴りがしたい」「走り競争が良い」などと楽しい練習を選ぼうとする。

 企業においても、経営者やリーダーが会社の目標を達成するために最優先でやって欲しいことを社員、スタッフがやらず、好きなことをやっていることも多々ある。もちろん給料をもらって働いているのだから、役に立つことをしようという思いはあり、無駄なことをやっているとは思っていない、むしろ良いことだと思ってやっている。

 新商品の開発やあらたな企画のパンフレット作り、新規顧客の開拓などは気づくと後回しにされている。よく知っているいつもの商品を売ることや今あるパンフレットを印刷して使い回すこと、既存の気心の知れたお客様との会話のほうが慣れていて、楽だからである。




 しかし、やりたいこととやるべきことは大きく違う。

 やりたいことは自分が個人的に興味のあること、自分が楽しい、良い、善であると感じることである。

 チームとしては、能力も意識も高い人の指導を優先して欲しいが、個人的には不器用な人、意識の低いを助けることが大切と感じるため、その指導を優先してしまうなどである。

 やるべきことは、会社や組織、チームにとっての目的や目標に対し、果たすべきこと、達成するための行動である。

 もう少しで、仕事を覚えてまかせられそうだと思った矢先に退職されてしまうということが続き、社員の定着率が悪くなっていたり、採用活動に力を入れて、募集しても応募してくる人が少ない、毎日気がつくと終業時間を超えて仕事をしていて、周りをみたら他の社員も普通に作業している、業務が多岐にわたり、あれもこれもひとりで何役もこなしているなどのあげればキリがないほどの問題が私たちの周りにはあるが、数々の問題の根本原因を見つけることなども最もやるべきことである。


 だが、やりたいこととやるべきことをしっかりと区別して捉えるということがなかなか難しい。

 成果が出ている人は、やるべきことを見つけるのがうまい。

 空手でも上達の早い人は、重要なポイントを素早く捉える。「手は文字を書いたり、箸を使ってご飯を食べたりできるほど器用なので、肩の力は抜いて、腕に力を入れずに、手に比べると自由の効かない足を使う立ち方や移動の仕方から練習しましょう。」という要点をを伝えると素直にここが大切なんだとできるまでなんども歩き方や足の動かし方の稽古を繰り返す。

 ところがほとんどの人が、指導者が伝える重要なポイントを聞き流してしまう。

 職場においても、上司がこの仕事を処理しておいて欲しいと頼むが、一応処理はされているが、一番肝心なところがぬけてるということも日常茶飯事である。イベントの事務局という役割を任せたスタッフに、会議の開催を依頼したが、メンバーには連絡をいれ日程調整をし、全員参加したが、イベントの目的など本日の議題を整理しておらず、資料すら作成していない。また、その逆で、資料の作成に時間をかけすばらしい資料ができているが、関係者に連絡がいっておらず、欠席者が多くなってしまうなどの事例もそうである。


 どうやったら、やりたいこととやるべきことを区別し、やるべきことを見つけるられるのか。その能力を高められるのか。

 それにはまず、落ち着いて集中できる環境を整え、しっかりと時間を確保することである。

 なんのためという目的と、どうなっていることが望ましい結果なのかという目標をしっかり確認し、考えるために必要な情報やデータを準備する。バラバラに見える情報を整理して、それぞれの点と点を繋ぎ合わせて関連づけていく。

 個人と組織の、重要である、大切であると感じる価値観や、5年後、10年後どうなっていたいのかというイメージも確認し、繋ぎ合わせる必要がある。

 この作業は、明確にイメージとして自分の頭の中に描けてくるまで行う必要がある。

 そのうえで、目的を果たし、目標を達成するうえで、問題となっていることの根本原因を掘り下げ、最優先で解決するべき課題を見つけていく。

 このような、作業を繰り返し行うことでやるべきことを見つける能力が向上していくが、百聞は一見にしかずで、やはり何事もできる人のやっている現場を見ること、直接、聞くことより良い知恵はない。身についている人のそばでその動作を直接見て感じとり、空気や雰囲気も含め、見本とし、その通りに真似てみるとともに、そのひとから直接、コツや重要な考え方、ポイントを指導してもらうことが能力アップへの近道である。

 良い先輩、良い指導者を選んで、その人のそばにつく、そういう人をそばにつけることが大切である。良い指導者が、イメージを描く時間にそばにいて、寄り添い適切にアドバイスを行えばより一層、成長は早くなる。

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